
報恩講は、永仁2(1294)年から700年以上にわたって執り行われてきた浄土真宗で最も重要な年中行事であり、毎年、親鸞聖人の命日(1月16日)を中心に営まれてきました。
この日お寺に集う人々は、聖人の遺徳に感謝しつつ、そのみ教えを聞くことで心豊かな生活の礎にしています。
改めて私たちの日々の暮らしを振り返ってみると、たくさんの関係性によって成り立っています。
例えば家族・恩師・知人などによるサポートや、食べ物となってくれた多くの命です。もう少し視野を広げてみると、日光や空気、水など自然からの恵みもあげられるでしょう。
しかし、これらは都合の良いことばかりではありません。人間関係でいえば、すれ違いなどのトラブルによる悩みや愛おしい人との別れの悲しみなどがあり、自然環境でいえば台風や大地震などによるつらく痛ましいことも起きます。
私たちの人生は、こういった良くも悪くもある出来事が織りなすものといえるでしょう。
聖人は、そのような人生を生きる私たちが、どんな出来事にも向き合えるよう、常に仏さまがはたらきかけて下さっていることを顕かにし、生涯をかけてそのみ教えを伝え広められました。
報恩講とは、その聖人のご恩と、常にわたしたちにはたらきかけて下さる仏さまの願いを、改めていただくための集いです。そして仏さまのおはたらきと共に、日常にある全ての出来事に感謝できるような人生を歩んでいくことこそが、そのご恩に報いるということなのです。